「芽依、ほんとごめん。あたしたち、深森先輩のこと、悪く思ってた…」


無事に風邪が治り、元気いっぱいの状態で教室に着くと、瑠璃ちゃんと杏子ちゃんが唐突に謝ってきた。


「きゅ、急にどうしたの?」


そう聞くと、2人は眉を下げながら、お互い顔を見合わせる。


「…芽依が風邪ひいた時にね、深森先輩がわざわざあたしらのクラスに来て教えてくれたの。『萩ちゃん、今保健室にいるから』って…」

「わたしと瑠璃で休み時間にちょくちょく芽依の様子見に行ったらさ、毎時間、深森先輩がベッドの側の椅子に腰かけて、芽依のことずっと見てくれてたの」

「へっ…?」


衝撃的な発言に、ずるり、肩にかけていた鞄が滑り落ちる。


「ちょ、ちょっとまってよ…。私を保健室に連れて行ってくれたの、麻弥くんか玲太くんのどっちかじゃなかったの…?」

「玲太くんは教室にいたし、麻弥は『知らない』って言ってたよ」

「……」


サーッと血の気が引いていく感覚がする。

その刹那、玲太くんに教室を追い出された後の記憶が蘇ってくる。


…そうだ。

私、あの日、『家に帰りたくない』とかどうのこうの泣き喚いて…。