【side 真也】
──『…私、先輩の笑顔好きです……』
そう言われた時から、なんとなく、あの子の姿を探すようになった───。
「なーなー、真くーん」
「んー…」
机に突っ伏して考え事をしていると、麻弥が2年の教室に遊びに来た。
「メッセージ見た?オレ、さっき真くんに画像送ったんだけど」
「んー…」
適当に相槌を打ちつつ、麻弥のトーク画面を開く。
「…っ!」
「芽依、かわいいっしょ〜?」
「……」
麻弥が送ってきた写真には、萩ちゃんが映っている。
そこには、ハムスターのようにメロンパンを口いっぱいに頬張っていて、不思議そうにこちらを見ている彼女の姿があった。
カメラ目線だからなのか、萩ちゃんと目が合っているような気がして。
「……かわいい」
心の中で思っていたことがポロッと口から出てしまう。
「あーっ!めーたんだ!!シンシン、何でめーたんの写真持ってんの!?ずるい、あたしにもちょーだい!!」
後ろからユウカちゃんがスマホを覗き込んできてら耳元で騒ぎ始める。