「いやー、なんとか逃げ切れたね〜。きみも怖かったでしょ〜?」


不良たちから逃げて、駅前付近にある公園に到着すると、男の人は優しい声色で私の様子を心配してくれた。


なんとか助かったけれど、安心したのか、今頃体が震え出してしまう。

知らない人に触られた感触がまだ残っているような気がして、すごく不快だ。

カタカタ震える掌を見つめていると、彼の骨張った手が視界に映る。


「大丈夫、もう怖い人はいないよ」


男の人がぎゅっと両手で私の手を包み込んでくれた。

まるで、壊れ物を扱うようにそっと握ってくれて。

彼の手の温もりに安心して、次第に震えがおさまっていく。


「おっ、だいぶ落ち着いてきた感じ?顔色も良くなってきたね」


男の人は私の顔色を窺った後、パッと握っていた手を離した。


「ごめんね、急に手握っちゃって」

「い、いえ…その、平気、です……」


この人がいなかったら、きっと私は誰にも助けてもらえず、どこか知らない場所へと連れて行かれていたかもしれない。


想像するだけでゾッとして、考えないように首を横に振った。