「えーっ、結局真くんとなんも発展してねえの〜?」


「オレ頑張ったのに〜」と口を尖らせてラーメンをすする麻弥くん。

昼休み、いつも通りに杏子ちゃんたちと学食で昼食をとっていると、麻弥くんと瑠璃ちゃんの彼氏さんがやって来て、皆で一緒に食べることになった。


「芽依、そのからあげと俺のぶどうゼリー交換してくんね?」


ガタッと椅子を引く音がして、顔を上げると小学校からの同級生、玲太(りょうた)くんが隣に座り、ゼリーを目の前に置いた。


「えっ、何で…」

「いいじゃん、芽依ぶどうゼリー好きだろ?」

「わ、わかった…」


玲太くんがからあげを食べたそうに頼んできたので、仕方なくゼリーと交換する。


「食べさせて」

「自分で食べなよ」

「いーから」


何の感情もこもっていない声なのに、どこか圧を感じ、渋々お箸でからあげを掴んで彼の口へと持っていく。


「…芽依と玲太くん、その距離感で何で付き合ってないの?」

「玲太くん、ちゃんと言葉にしないと伝わらないぞ〜」


杏子ちゃんと瑠璃ちゃんが口々にそう言うと、玲太くんは「うっせ…」とぶっきらぼうに答えた。