こうして考えてみると、先輩が"チャラい"とかどうこう関係なく、ただただ好きが増していくばかり。
その笑顔、私だけに向けてくれませんか?───…なんて、言えるはずがない。
「…先輩」
「んー?」
「…つかぬことをお聞きしてもいいでしょうか」
「はい、いいですよ〜?」
本当に聞いてもいいのかな。
人のプライバシーに関わることなのに、無関係な私がこんなこと、失礼すぎるかな…。
「えっと、その…先輩と同級生である2人の女性と……」
「うん?」
心臓の音が徐々に大きくなっていく。
「い、一夜を共に過ごしたという、噂を聞いたのですけども…」
「……」
「本当、ですか…?」
前を見ていた先輩の視線がこちらに向いた。
黙ってしまうということは、その噂は事実ってこと…?
「……誰から聞いたの?」
「…私の友人がそのような噂を聞いたらしくて……」
「へー…」
先輩の声のトーンが少し低くなったような気がする。
焦ったり、動揺もしない様子にどんどん胸を締め付けられていく。
自分から聞いておきながら、今ものすごく涙が込み上げてきそうだ。



