「〜〜〜っ!!」


精一杯の力で振り払おうとした時───。



「おまたせ〜」



後ろからぐいっと腕を引かれたかと思ったら、


「いやー、ほんとごめんね。遅くなっちゃった〜」


私の肩を抱きながら間に割って入ってくる男の人が現れる。


「何、お前。邪魔すんなよ」

「いやいや、こっちの台詞なんですけど。…つーか、さっさとその汚い手離せよ」


ヘラッと笑顔で毒を吐く男の人は、自分の方に私を引き寄せて、チンピラたちから一歩距離をとる。


「…走れる?」

「えっ」


ボソッと耳元でそう囁かれた後、


「じゃあ行こっか〜」


男の人に連れられるがまま、私たちは不良たちを置き去りにして、駆け足でその場から立ち去った。