文句を言いながら友人らしき男子生徒2人が「チカちゃん」と呼ばれた男の子の元へとやって来る。
「…ってか、チカちゃん顔赤くね?」
「えっ、もしかして、またチカちゃんの青春再び───…?」
お守りを大事そうに持っているチカちゃんさんの周りにいる男子たちの視線が一斉に私の方へと向けられる。
「ごめんね〜!チカちゃん、女の子との関わりがなさすぎて、手が触れるだけでもすーぐ動揺しちゃってさ〜!!」
「最近、チカにやっと彼女ができる相手が見つかったと思ったら『王子』って呼ばれてるイケメンに奪われちゃって〜」
「でも失恋して1ヶ月くらい経つし、結構立ち直れてきた方だよな?チカちゃんっ!」
いきなりベラベラと話し出す男子2人に、チカちゃんさんは眉間に皺を寄せて「おいコラ…」と低い声を出した。
「1年の女子に人の恋愛事情を話してんじゃねえよ!ほら、困ってるじゃん!!」
「でもチカちゃん、これはチャンスだぞ?」
「こんな運命的な出会いをしたということはもうあれじゃん!!」
男子2人はぐりんっと勢いよく振り向いて、「俺たちの大好きな速水千花くん、いかがですか!?」と、圧をかけるように迫ってきた。



