先輩と付き合うことになって、1週間が経ったある日の月曜日。
私は玲太くんを呼び出した。
「この前は本当にごめんなさい」
学校を仮病で休んだ日に玲太くんの胸ぐらを掴み、怒鳴ってしまったため、その反省を踏まえ、頭を下げて謝罪した。
「……そのことを謝るためにわざわざ呼び出したのかよ」
「う、うん…。だって、私、あの時玲太くんにひどいことしちゃったし。……それに、玲太くんとこのまま仲悪い関係でいるのも嫌だったから…」
「……」
はぁ…と呆れたようなため息をつかれ、ビクッと肩が飛び跳ねた。
「……俺もごめん」
予想外な返事が返ってきて、咄嗟に顔を上げる。
無愛想で、全然素直じゃない玲太くんの口から『ごめん』という言葉が出てきて、聞き間違いなんじゃないかと思って耳を疑った。
驚いている私を見て、「何だよ」と言いたげな目でジロリと睨まれる。
「玲太くんって謝れるんだね…」
「喧嘩売ってんのか」
「いででで…!」
失礼なことを言うと、両方のほっぺたをつままれ、左右同時に引っ張られる。
玲太くんは私の間抜けな顔を見て満足したのか、鼻で笑いながらパッとつまんでいた頬を離した。