「萩ちゃんは気づいてないと思うけど…」
どうして、そんな表情をするのだろう。
「萩ちゃんがお母さんの話をしてた時、自分が悪いことしたみたいな、罪悪感を感じてるような顔してたよ」
心の奥底まで見透かしたような瞳に、目を逸らすことが出来なかった。
その瞬間、私が小さかった頃に母と祖母の会話が脳裏に過ぎった。
──『あんたがあんな男と付き合わなかったら芽依ちゃんはもっと幸せになれたのに…』
──『ちょっとお母さん、芽依の前でそんな話しないでよ』
その後、母と祖母の言い合いが徐々に激しくなっていった。
当時は何の話をしていたのか、意味はわからなかったけど、何年か経って、成長していくにつれて、どうして2人が言い合っていたのかも、祖母が悲しそうに『ごめんね』と言っていたことも、祖父が『何も心配する必要はないよ』と優しく頭を撫でてくれたことも。
そして、母が毎晩リビングで泣いていたことも、次第にストレスで痩せ細っていく母の体も、全部、何もかも気づいてしまって。
「……すごく幸せだけど、時々、『消えたい』と思ったことは何度もありました」



