しかも、当時の彼女の年齢は18歳で現役高校生。
もちろん、数々の批判が殺到していたとのこと。
賛否両論の中、椎名つぼみは自分のお腹にできた子どもを絶対に産むと決意し、19歳になる年に第一子を出産。
そして、その子どもが私、萩野芽依である。
「以上が、母から聞いた本当にあったお話でした。ご清聴ありがとうございました〜」
「……」
引かれたかもしれない、と思いつつ、わはは〜っと笑顔を作って家族事情について話し終えた。
すると、ずっと黙っていた先輩がゆっくりと口を開く。
「……萩ちゃんは、今幸せ?」
予想外な反応に、私は目を見開いた。
「えっ……いや、幸せ、ですけど…」
「本当に?」
「はい…」
先輩は一体、何を言っているのだろう。
聞かれなくても幸せに決まっているのに。
何気なく自由に過ごせて、毎日ご飯代をもらって、玲太くんのご家族にお世話になったり、瑠璃ちゃん、杏子ちゃん、麻弥くんたちと友達になれて、真ちゃん先輩の彼女になれて。
物凄く幸せすぎてバチが当たってしまいそうなくらい、私は恵まれていると思う。
十分、贅沢に、この上なく幸せだって、そう言ったのに。