「やっぱおれ、萩ちゃんの笑顔好きだわ…」
先輩の指先が頬をかすめ、垂れ下がっている私の横髪を耳にかけた。
先輩の瞳に、私の姿が映る。
「私も、先輩の笑った顔が、好きです」
照れたような表情に、熱のこもった瞳。
タレ目がちな黒い瞳が、まっすぐに私を捉えていて、今にも吸い込まれそうだ。
「しんちゃん、せんぱい」
「ん?」
「すき、です。先輩のことが、だいすきです…」
先輩が好きという感情が一気に溢れ出す。
「他の女の子のことなんて、好きにならないでください…」
「なるわけないじゃん」
「私のことだけ、見ていてほしいです…」
「おれはもう、萩ちゃんのことしか見てないよ」
真ちゃん先輩のことが好き、大好き。
先輩への想いが止められない。止まらない。
先輩ともっと一緒にいたい。
「ずっと隣で、側にいてください───っ」
そう言った瞬間、ふわり、先輩の香りに包まれる。
先輩の腕が私の背中に回っていて、ぎゅうっと強く抱きしめられた。
「…ずっと、おれのことだけ見てればいいじゃん」
初めて大好きな人に抱きしめられて、恥ずかしさと嬉しさが混ざり合い、かあ…っと体全身が火照っていく。



