先輩を好きになってから、今もずっと逃げてばかりだった。
このままじゃだめなんだ。
ちゃんと口に出して、言葉にして言わなくちゃ。
「あのっ!やっぱり私、先輩と──…」
『先輩と一緒にケーキが食べたいです』
そう伝えようとした時、「萩ちゃん」と先輩の声で遮られる。
そして、先輩は続けて言った。
「好きだよ」
反射的に顔を上げると、まっすぐな眼差しで私を見据える先輩と目が合った。
「おれ、萩ちゃんがすげえ好き」
「……はっ」
────いま、なんて…。
「もっと早く、萩ちゃんよりも先に伝えたかったんだけど…。遅くなって本当にごめん。これがおれの、萩ちゃんへの返事。おれも萩ちゃんのことが好きだし、萩ちゃんを好きって気持ちは誰にも負けないよ」
「……っ」
びっくりするあまりに、声が出せなかった。
信じられなかったのだ。
先輩が私を好きだなんて、夢のまた夢だったから。
「せんぱい、それ、ほんとう、ですか…?」
「当たり前じゃん」
「うっ…。で、でも先輩、好きな人がいるって…」
「うん、その好きな人が萩ちゃん」
「んなっ…」



