「私と会っていなかった時、何して過ごされてたんですか?」
「ゲームしてた」
「……げ、げーむ…」
私のドキドキを返してほしい。
せっかく、勇気振り絞って聞いたのに…。
「萩ちゃんと音信不通になって、更には学校でも会えなくなって、すごく落ち込んでた時にね、まやっちが『気分転換にゲームでもしたら?』って言ってゲーム貸してくれたんだ〜」
「あっ、なるほど…」
「あとは現実逃避に推しカプ愛でてた」
「お、おしかぷ…?」
"おしかぷ"という単語はどこかで聞いたことはあるが、あまりよくわからなかった。
だけど、先輩が真顔で言うほどなのだから、嘘ではないのだろう。
「…あっ、えっと、ケーキ、食べますか?」
「おれはいいよ。萩ちゃんが食べな」
「でも、ちょうど2つあるので…」
「でもそれ、元々おれのじゃなくて萩ちゃんとお家の人の分でしょ?おれのことは気にしなくていいよ」
「で、でも…」
一緒に食べたいなぁ…なんて。
ケーキは今2つしかないけど、きっとお母さんがホールケーキ買ってきてくれるだろうし。
「……」
これまでの私なら、何も言わずにこの場を終えていただろう。
でも、今は違う。



