「おじゃましまーす」

「ど、どうぞ…」

「萩ちゃんの家に来たのは2回目だけど、入るのは初めてだよね〜」

「私が熱を出して、先輩のお姉さんの車で送ってもらった以来ですもんね…」


自宅に自分以外の人がいることに、何故か緊張している。

普段はあまり人を呼んだりしないのと、大体私は杏子ちゃんか瑠璃ちゃんの家にお邪魔している側だから、その逆のパターンだと少しそわそわしてしまう。

人を家に上げるのはいつも玲太くんくらいで、まさかの真ちゃん先輩が私の家にいて、同じ空間にいるなんて…。


「しあわせすぎてしぬ…」


感極まって涙が溢れ、先輩の背中に向かって手を合わせ、「ありがとうございます」と心の中でお礼を言って拝んでおいた。

しかし、リビングに置いてあるソファーに先輩が腰を下ろした瞬間、私は今どういう状況になっているのかということに気づく。


現在、22時半。

私の家に、真ちゃん先輩が遊びに(?)来てくれている。

付き合っていない男女が狭い空間で2人きり。



「……ハッ!!」



今更になって我に返り、罪悪感に襲われた。