恐る恐る、チラッと先輩の反応を窺う。
すると、先輩は目を見開き、口をあんぐりと開けて「マジか…」と呟いた。
先輩が絶句している。
「な、なんで教えてくんなかったの!?言ってよ!そういう大事なことはさあ!」
「だ、だって聞かれなかったし…。そもそも人に言うものでもないと思ってて……」
聞かれたら教えるけど、聞かれてもいないのにわざわざ自分から言うのもなんか変だし…。
先輩は、ガーンッ…とショックを受ける。
「……萩ちゃん」
「は、はいっ…」
「お家、帰るよ」
「へっ??」
帰るって、どこへ?
歩き出す先輩に手を引かれながら疑問を抱く。
先輩がくるりとこちらに振り返ってこう言った。
「今日、萩ちゃんの誕生日なんだから祝わなきゃじゃん」
「えっ」
「それに、おれと一緒に過ごしたいんでしょ?」
「…っ!」
それって、つまり────…。
「う、嬉しいです、先輩!」
「はいはい。もう遅い時間だから騒いじゃだめだよ」
軽く頭を撫でられた後、私は共用玄関のドアを開けて、先輩を自宅へと案内したのだった。



