正直に言うと、私も帰ってほしくない。
せっかく会えたのに、このまま先輩が帰ってしまったら、もう話せなくなるかもしれない。
どうすればいい?
学校がある日まで待つ?
いや、それじゃ遅すぎる。
だけど、先輩とは離れたくない。
こういう時、一体どうすれば───…。
一生懸命頭を働かせ、私はあることを思いついた。
「せ、先輩!家、来ませんか!?」
「えっ、家!?」
「はい」と頷きながら返事をする。
私の家でなら、先輩と離れることはないし、ゆっくり話ができる。
我ながら、良い提案だと満足するも、先輩は眉を顰め、うーん…と考え込んだ。
「だめでしょ。こんな時間にお邪魔したら迷惑じゃん…」
「今、家は私だけです!」
「いや、もっとだめじゃん」
首を横に振る先輩を見て、何か奥の手はないかと再度頭を働かせた。
そして、今日が何の日であるのかということに気づく。
「あのっ、今日!私の誕生日なんです…!!」
あと1、2時間くらいで終わってしまうけども。
「だから、先輩と一緒に誕生日を過ごしたいです!」
ものすごく無理のあるお願いであることは十分自覚している。



