あなたの笑顔が好きだから。


「…つーか、おじょーちゃんよぉ。こんな時間に出歩いてたら危ねえぞ〜?」

「……そう、ですね…」

「んだよ、やっぱ家出してんのかぁ〜?」

「いや、家出、ではないんです、けど…」


家に帰ったらひとりぼっちだ。

瑠璃ちゃんたちが『お母さんが帰ってくるまで電話する?』と気を遣ってくれたけど、私は『大丈夫』と言って断った。

こんな悲しい思いをするのだったら、やっぱり電話してもらっておけばよかったかもしれない。


いつもいる家なのに、毎日家では1人なのが当たり前なのに。

なんでだろう。

今、ものすごく寂しくて、誰かと一緒にいたいという気持ちが強くなっている。


「んな顔すんなら、おじさんとこ来るかぁ?」

「えっ…」

「つっても、ほとんど野郎しかいねえんだよなぁ…。どうしたもんか」


ぶつぶつ呟きながら考える素振りをする男性を見つめる。


頷いたら、この人の家に連れて行ってもらえるのだろうか。

明日の昼くらいに帰ってくるってお母さん言ってたし、少しだけ出かけてても大丈夫、だよね…?


「あの、私──…」