あなたの笑顔が好きだから。













────…ルルルッ。

プルルルルルッ、プルルルルルッ。

プルルルルルッ。



遠くから、電話のベルが鳴る音がする。


「………んぅ……」


瞼を開けて、重たい体を起こす。

時刻を確認すると、時計の針は21時前を指している。

プルルルルルッ、と電話がかかってくる音が何度も響いた。

どうやら私はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

電話機が置かれている場所へ向かいながら、ぼんやりと数時間前の記憶を思い出す。


確か、寝転がっているのもあれだったから、先にお風呂に入って、その後はテレビ見てたんだっけ。

テレビを一通り見てから、することもなくてソファーの上でぼーっとしていたら気づけば意識を失っていて…。

何時間くらい寝ていたんだろう。

お風呂から出たのが19時くらいで、それからは、えーっと…。


寝起きで頭が回っていない状態のまま、受話器を手に取り、ふにゃふにゃとした声で電話に出た。


「もしもし」

《もしもし、芽依?お母さんだけど…》

「…っ!? おぁっ…お、お母さん、どうしたの…!?」


電話の向こうからお母さんの声が聞こえた瞬間、一気に眠気がどこかに飛んでいった。