あなたの笑顔が好きだから。





帰宅した後、私はすぐに制服から部屋に着替えた。

リビングに行き、ソファーに腰掛けるも、そわそわと妙に落ち着かなかった。

お母さんが《ケーキ買って帰るね》と連絡が来て、あまりにも嬉しくて、落ち着いてなんていられなかったのだ。

今年の誕生日こそは、お母さんと一緒に過ごせるかもしれない。

小さい頃は、毎年2人でパーティーのようなものをしていたけど、お母さんの仕事が更に忙しくなっていって、小学校高学年くらいからは、気づけばいつも1人で自分の誕生日を祝っていた。

だから今、私はものすごくわくわくしている。


何か飾り付けとかした方がいいかな?

自分の誕生日のためにリビングの中を1人で飾り付けはさすがに浮かれ過ぎてるし、むなしすぎるかな?


クッションを抱きしめて、ごろんとソファーに寝転がる。


「お母さん、早く帰ってこないかなぁ…」


ぽつり、そう呟いて、お母さんが帰ってくるのを楽しみにしながら待つことにした。