あなたの笑顔が好きだから。


先輩に告白すると決意した以降、麻弥くんには先輩との今の関係について何も報告できていない状態だった。

瑠璃ちゃんと杏子ちゃんにも話せていない。

せっかく麻弥くんが背中を押してくれた(?)というのに、『告白したけど、なんか無理だと察したので最終的に綺麗さっぱり諦めることにしました!』なんて言ったら、どうなるのだろう。

考えなくてもわかる。

鬼の角を生やした麻弥くんの姿が想像できるもん。

絶対怒られる自信しかない。


ちなみに、真ちゃん先輩とは、学校を休んで次の日からは一度も会っていない。

何日かうちのクラスにやって来て、私の姿を探していたらしいが、私は休み時間になる度に、トイレへと直行して、なんとか会わないようにやり過ごしていた。

毎日トイレに逃げ込んで、そろそろ限界に近くなった時には、もう先輩が教室に来ることはなかった。

きっと、諦めてくれたのだろう。

私のことはもう構ってくれなくていいから、先輩には幸せになってほしい。

先輩に好意を向けられる女の子が羨ましい限りだ。


「おい、芽依。聞いてんのかよ。結局、真くんとはどうなったんだよ〜?」

「えっ、えっと…ひみつ!」

「はあ〜〜〜???」


麻弥くんは、なんだそりゃ、という表情で顔を顰めた。