あなたの笑顔が好きだから。


力の差を見せつけられ、今の自分がどれほど憐れなのかを思い知らされる。

同時に涙が込み上げてきて、もう一度玲太くんを睨みつけて振り解こうとするも、全くびくともしなかった。


悔しい。
むかつく。
鬱陶しい。

小学生の頃は、私の方が体も大きくて、力も玲太くんに勝っていたのに…。


「……ゔぅっ…」


先輩なら、こんな強い力で握らない。

初めて会った時もそうだった。

壊れ物を扱うように、そっと優しく手を握ってくれた。



「………しんちゃん、せんぱい……」



目尻から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

涙は引っ込むことなく、ポロポロと頰を伝っていく。

そんな私の姿に、玲太くんは目を見開いた。



「……そんなに、深森(アイツ)がいいのかよ」



震えた声で呟いて、掴んでいる私の手首を放す。


「もういい。勝手にしろよ。俺は慰めてなんかやらねーから」

「……」