「………うるさい」




思いきり玲太くんを睨みつける。


「……何にも知らないくせに。先輩のこと何も知らないくせに…!!!」


何も知らない人が先輩の悪口を言わないで。

噂だけで勝手に決めつけないで。

真ちゃん先輩は、玲太くんが思っているような人なんかじゃない。



「これ以上先輩の悪口言ったら許さないんだから…!!!」



胸ぐらを掴む力を更に強めて言い放つと、玲太くんも私と同じように睨み返してくる。


「……手、離せよ」

「……」

「おまえ、俺のことまだ小学生の頃の俺だと思ってんだろ」

「……っ、うるさ──…」

「言っとくけど、おまえのこんなちっせー手なんか、今の俺にとっちゃ簡単に振り払えんだよ。あんま調子乗んなよ」

「い"っ…!?」


強い力で手首を掴まれた瞬間、あまりの痛さに玲太くんの胸ぐらから手を離した。

しかし、玲太くんは、私の手を離そうとしなかった。


「解いてみろよ。まあ、おまえが俺に勝てる要素なんて一つもねえけどな」

「……っ」