あなたの笑顔が好きだから。


「……すみません。私、もう教室に戻らなきゃなんで……」

「えっ、ちょ、ちょっとまって。なんでこっち見てくんないの…?」


逃げようと一歩足を踏み出したら、先輩が咄嗟に私の腕を掴んだ。


「……っ、はなして、ください……」

「こっち向いてくれたら放す」

「……なに、いって……」


なんなの、本当に。

『こっち向いてくれたら』って、さっきまで先輩のことぐるぐる考えてたのに。

先輩が悪いんじゃん。

先輩が私のこと見てくれなかったから。

また女の子と体の関係を作ろうとしてるくせに、なんなのその態度。


横目で先輩を睨みつけながら「はなして」と冷たく言い放つ。


「萩ちゃん、何怒って──…」


「あーっ!シンシンはっけーん☆」


甘ったるい女の子の声が鼓膜に届いた。

顔を上げると、数人の女子生徒が真ちゃん先輩の元にゾロゾロ集まってきて、先輩の掴む手の力が緩まった。

片腕が解放されて、自由になる。

その隙に立ち去ろうとすると、1人の女の子が口を開いて、先輩にこう聞いた。