あなたの笑顔が好きだから。


あれっ、この前私に言ってたことと全く逆のこと言ってない?

最近は"そういうこと"してないんじゃなかったの…?


さっきまであった自信が一瞬にして消えていく。

真ちゃん先輩の発言で、正面から攻撃を思いきり食らったような感覚に襲われる。

あんなにも軽かった体が一気に重くなって、更には頭が真っ白になった。

昼休みで騒がしいはずの生徒たちの声が全く耳に入ってこない。




ねえ、先輩。

また、いろんな女の子と遊ぶようになったの?

私以外にも、他の子とお出かけしたりして、私の知らないところで笑ってるの?


確かに、私もたくさんの女の子がいる内の1人に入りたいとは言ったけど、今は違う。

先輩の1番になりたかった。

先輩の隣で笑って、独り占めしたくて───…。


先輩にとって、私はなんだったのだろう。

ただの後輩?
それともただの知り合い?

じゃあ、なんで"私に出会えてよかった"なんて言ったの?


わからない。

先輩のことが何にもわからない。


この場にいたくなくて、気がつけば走り出していた。

目の奥が熱くなっていて、視界が透明な何かでぼやけ始める。