隣には、私と同じ背丈くらいの女の子と、真ちゃん先輩の向かい側には日山先輩が立っている。
しかし、日山先輩は私の方に背中を向けているため、顔は見えない。
3人で何か話している様子ではあるが、女の子は少し表情を強張らせて日山先輩を見上げている。
「告白どうだった?結構可愛かったよね〜」
先輩たちが気づかない程度の距離で足音を立てずにそっと近寄ってみると、会話が聞こえてきた。
真ちゃん先輩がヘラリと笑って、日山先輩に話しかけている。
「喋ったことなかったから断った」
「んは、ウケる〜。ってかその手に持ってる紙、さっきの子の連絡先?」
「…そうだけど、深森いる?」
「まじ?さんきゅー!この子セフレにでもしよっかな〜」
怪訝そうな表情で先輩2人を交互に見ている女の子とは反対に、真ちゃん先輩は、んははと笑っており、日山先輩は慣れたような態度で会話を続けている。
一方、私はというと、目を見開いて呆然と立ち尽くしていた。
───えっ…。
先輩、今『セフレ』って言った…?
事情はよくわからないけど、日山先輩から受け取ったその紙は、おそらく誰かの連絡先が書かれているのだろう。



