「…せ、先輩……っ」
「んー?」
「…名前、教えてもらえませんか……」
「…あっ、ごめんごめん。名乗ってなかったっけ?」
私の手を握っていた先輩は、そっと自分の手を離す。
「深森だよ。深森 真也。"シンシン"って呼んでもいいよーん☆」
ふかもり、しんや先輩…。
名前、やっと知れた。
杏子ちゃん、瑠璃ちゃん!名前わかったよ!
「きみの名前は?」
「は、萩野 芽依、です…!」
「ハギノ……んーっと、じゃあ萩ちゃん!よろしくね〜」
「よ、よろしくお願いします。…し、真ちゃん先輩…っ!」
先輩はぱちくり、何度か瞬きをする。
知り合っていきなりあだ名で呼ぶのはまずかっただろうか。
自分で言っておきながら、"後悔"がじわじわ押し寄せてくる。



