そう、私たちは付き合っていない。

心の中で言い聞かせておきながら、ダメージを受け、悲しくなってくる。

だけど、事実だ。


ここのところ、真ちゃん先輩と一緒に帰る回数が増えた。

放課後、真ちゃん先輩が教室にやって来ると、瑠璃ちゃんたちが「頑張ってこい!」と背中を押されつつ、通学路を歩いている途中でダメ元で小指を握らせてほしい、と頼んだら快く受け入れてくれた。

また、別の日には、指の本数を増やしてみようと挑戦し、今度は薬指も握りたいと伝えたら、「いいよ」と優しく笑いかけてくれた。

今更思い出してしまい、カァァッ…と、頬が熱くなった。

浮かれている私を見て、麻弥くんは大きなため息をつく。


「……芽依さぁ、夏休みに真くんとデートしたってのに、何で告白しなかったんだよ」

「…っ、で、デートじゃないよ……」

「お前、バカなの?男女2人で水族館とか、普通にデートじゃん」

「デッ…!?」


そうなの…?

付き合っていない男女でお出かけすることも"デート"って呼ぶものなの?


「つーか、なんで告らなかったんだよ。それがオレには理解できねーわ」

「だ、だって…勇気が、出なくて……」