夏休みが終わって、2学期に突入した……のだが───…。



「おはよ〜萩ちゃん♡」



「あっ、萩ちゃん。よかったら今日、一緒に帰らない?」



新学期が始まって数日経ち、先輩と水族館に行った日以降から少しだけ距離が近くなったというか、校内で遭遇することが増えたような気がするというか…。

そう思っているのは、私だけ?

意識しすぎて勝手に都合の良い解釈しちゃってる?



「なあ、芽依と真くんって付き合ってんの?」



真ちゃん先輩との距離の近さについて考えている最中に、突然目の前にやって来た麻弥くんが単刀直入な質問をしてきた。


「つ、つきあってないよ…!!!」

「うおっ、声デカ」


一体どこをどう見て、私と先輩が付き合っているように見えたんだろう。


私は慌てて立ち上がり、乱暴に麻弥くんの腕を引っ張りながら、教室から廊下の隅っこへと移動する。


「えっ、マジで付き合ってねーの?カップルみたいな雰囲気出してたじゃん。昨日、2人が手繋いで帰ってるとこ見かけたし」

「ち、ちがうよ…!あれは、手を繋いでたんじゃなくて、私が『小指と薬指握りたいです』って頼んで握らせてもらっていただけであって…!!」