杏子ちゃんや同じ学校の子たちはみんな、日山先輩のことばかり話しているところを見かけるけれど。
「たとえ世界中の人たちが先輩のことを見てなくても、必要としてなくても、私はずっと先輩のこと見てますし、必要だって思ってます…!!」
好きだから。
先輩の笑顔が好きだから。
だから、お願いします───…。
「どうか、自分のこと否定しないで」
震えた声で言った。
私の言葉に、先輩はこちらを見上げながら大きく目を見開いた。
「萩ちゃん…」と、小さく呟く先輩の声に聞こえていない状態のまま、私は話を続ける。
「それに、日山先輩は真ちゃん先輩のこと大好きだと思います!先輩や麻弥くんの前でしか、あんな怖い顔するほどですし…!!」
「いや、まあ……うん。そういえばあいつ、怖い顔してたね…」
苦笑いを浮かべる先輩に、私は何度も頷いた。
日山先輩と直接話したのは一度しかないけれど。
でもきっと、日山先輩は真ちゃん先輩のこと大切だと思っているし、必要だと思っているはずだ。
「日山先輩も、麻弥くんも、甥っ子のゆうくんに先輩のご家族や私も含めて、みんな先輩のことが大好きです!先輩は1人じゃないし、透明人間でもなくて、私たちがちゃんと見ているってことをわかっておいてほしいです…!!」



