「…わ、私、ずっと先輩のこと、探してました……」
もう一度伝えたい。
あなたに『ありがとう』って───。
「1ヶ月前のあの日、不良に絡まれてる所を先輩が助けてくださって……それで、震えた手を握ってくれて……」
先輩が包み込んでくれた大きな掌に安心できたのも、あなたが優しいから。
「本当に…ありがとう、ございました…。先輩には、感謝の気持ちで、いっぱい、です……」
今度は緊張で手が震え出す。
顔も真っ赤っ赤だろう。
私がぎゅっと、手に力を込めた時だった───。
「っ…!」
「おっ、震え止まった?」
あの時のように、先輩が私の手を握ってくれていた。
それと同時に、じわじわ体温と心拍数が上昇していく。
「前にもちゃんとお礼言ってくれてたじゃん。そんな何度も言わなくたって、しっかり伝わってるから、大丈夫だよ」
「律儀だね〜」と、眉を下げて笑う先輩。
やっぱり、笑った顔、素敵だなぁ…。



