私が見ているのは真ちゃん先輩なのに、どうして日山先輩に会う前提で喋っているのだろう…と、疑問を感じていた。
だけど、今この瞬間、先輩の話を聞いて、理解した。
"日山先輩"という、存在が大きすぎるあまりに、自分はすでに相手の視野にすら入っていないのだと思い込んで。
───先輩は、ずっと心の中で泣いていたんだ。
「永遠のことは大好きに決まってんじゃん。おれにとってあいつは、兄弟みたいなもんだし…」
でも…と、先輩は続ける。
「必要とされないのは……透明人間扱いされるのは、すごく悲しい」
悲しそうに笑いながら、視線を下に向ける先輩を見て、私はぎゅっと両手の拳を握りしめる。
先輩の横顔が私の瞳に映り込む。
行き場のない感情をどこにぶつけていいのかわからず、勢いよく立ち上がった。
「〜〜っ、私は…っ、私は、先輩のことしか見てません…!!」
先輩の心の中の本音が聞こえた気がした。
『寂しい』って声が、聞こえた気がしたんだ。
先輩は、いつだって余裕があって、優しくて、笑った顔は可愛くて。
「確かに、日山先輩は女の子が憧れるくらい魅力があって、かっこいい人だとは思います。でも、真ちゃん先輩だって、日山先輩と同じくらい、素敵な人なのを私は知ってます!!」



