──『…おれも、萩ちゃんの笑顔好きだよ』
そうだ、あの時だ。
ショッピングセンターで先輩と偶然的に会えた日のこと。
恥ずかしさのあまり、体全身が一気に熱を帯びていくなか、ふと先輩の方を見ると、先輩も私に釣られて頬がトマトみたいに真っ赤に染まっていた。
「…あの、話が変わってしまうんですけど、先輩が私の笑顔が好きって言ってくれたの、すごく嬉しかったです。ありがとうございました」
「へっ…!?…あっ、うん。 っていうか、萩ちゃんだっておれが笑った顔好きって言ってくれたじゃん。お礼を言うのはこっちだよ」
「今までそんな嬉しいこと言ってくれるの、1人もいなかったし…」と、先輩は眉を下げて小さく微笑んだ。
「? 『1人も』って…。家族の方も言ってくれなかったんですか?」
「んえっ?いや、もちろん家族も言ってくれたよ。おれが言いたいのは、家族以外でって意味だったんだけど……」
「ア"ッ……で、ですよね…!ごめんなさい。で、でもちょっと意外だなって思いました。先輩は、いつも綺麗な女の子たちに囲まれていて、相当モテてるんだなって……」
「んー…。別にモテてないよ。おれと仲良い女子は大体、永遠目当てで話しかけてくる子がほとんどなんだよね。まずは、外堀を埋めていく的な?」



