あなたの笑顔が好きだから。


スマホのカメラアプリを起動して、何枚か写真におさめてから、サンドイッチをぱくり、と一口食べる。

食べながら「おいしい!」なんて目を輝かせながら言って、2人同時に頬が緩んでいく。


「萩ちゃーん」

「? はい」


パシャッ。

顔を上げると、シャッターを切る音がスマホから聞こえた。

「えっ…えっ?」と、困惑していると、先輩はニッと口角を上げて、スマホの画面をこちらに向けてくれた。

写真には、サンドイッチを頬張っている私が間抜けな表情をしている。

しかも、カメラ目線だ。


「えっ!?!?な、何ですか、これ!?キモいので消してください…!!」

「えー、何で?ハムスターみたいでかわいいじゃん」

「全くかわいい要素ないです!」


ブサイクすぎてびっくりした。

特に何か食べている時の顔は、学生証写真の次に並ぶくらいブサイクに写る。


「ほ、ほんとに消してください…。私のメンタルが死んじゃいます……」

「えー、もう〜わかったよ〜。はい、消しましたっ」


消したと言いつつ、結局消しておらず、サンドイッチを頬張る私の写真は、お気に入りにしていることを、この時の私はまだ知らない───。