あなたの笑顔が好きだから。






30分ほど電車に乗り、駅を出て見上げると、「水族館」と大きく書かれた立派な建物がすぐ目に入った。

近くに海があるのか、遠くの方から波の音が聞こえてくる。


「はい、これチケット」


中に入る前に、先輩からチケットを受け取る。

私たちが今から行く水族館は、一昨年くらいにオープンしたばかりで、お年寄りから子どもまで人気があり、今では観光スポットと言われるくらいに有名な場所となっている。


受付を済まし、奥に進むと薄暗い照明が視界いっぱいに広がる大きな水槽を照らしていた。

大水槽の中を悠々と泳ぐ魚たちの姿は、なんだか神秘的に見えた。

水族館に来たのは、小学生以来だ。

水槽の中央でひときわ存在感を放つ、イワシの群れに圧巻されながら、懐かしい思い出が脳裏に浮かび上がる。


「わあぁっ…!先輩、すごいです!魚がたくさんいます!!」

「そうだね〜」

「あの魚、すごく大きいですね!なんの魚なんでしょうね?」

「なんだろう、わかんないや。永遠なら知ってそうだけど」

「えっ、日山先輩って魚詳しいんですか?」

「うん、まあ、たぶん詳しいと思う。あいつ、なんでも完璧に振る舞おうとするやつだから…」


そう話す先輩の表情に、翳りが見られた。

水槽の中の魚を眺める横顔は、どこか憂いを帯びている。