あなたの笑顔が好きだから。


***


8月30日。

とうとう、先輩と水族館に行く日がやって来た───。


瑠璃ちゃんと杏子ちゃんが一緒に考えてくれた服を着て、玄関を出た後、ゆっくり深呼吸をする。

やけに心臓の音がうるさく鳴り響いて、どうにも落ち着かない。

駅に向かいながら手鏡で自分の身なりを確認する。


……大丈夫、だよね。

メイクもしたし、先輩が『髪巻いてるのが好き』って言ってたから、早起きしてヘアセットも頑張った。

ちなみに、私の格好は、黒のフレアスカートにリボンがついたオフショルダーの白いブラウス、厚底のサンダルを合わせ、少し背伸びをした大人のコーデとなっている。

オフショルダーだなんて初めて着るため、物凄く恥ずかしい気持ちになる。

高校生にしては大人すぎたかもしれない、と少々不安に思いつつ、私の格好を見た時、先輩は褒めてくれるかな…とドキドキしながら最寄り駅に到着した。


駅前の広場に行くと、先輩らしき人物を発見する。

目を凝らして近づくと、その人物は紛れもなく真ちゃん先輩だとわかり、慌てて花壇の影に隠れた。

背筋を伸ばし、覗き込むようにして先輩の様子を窺う。

先輩は、広場にあるベンチに腰を下ろし、スマホをいじっている。