真ちゃん先輩と連絡先を交換して、2日後のことだった───。
友達リストに先輩の名前が並んでおり、まだ夢なんじゃないかとぼんやり眺めていた時、突然スマホが鳴り出して、画面に「真ちゃん先輩」と自分で設定した名前が表示される。
驚いた私は、勢いよくベッドからひっくり返ってしまった。
慌てて起き上がり、再度スマホの画面を確認すると、真ちゃん先輩から電話がかかってきているのだと理解する。
まさかの予想外な展開に、心臓がドクドク、早鐘を打っている。
私は、"応答"と書かれたマークをタップし、「も、もしもし…」と、裏返った声で電話に出た。
《もしもーし。やっほー、萩ちゃん。おれだよ、真ちゃん先輩だよ〜》
「ぞ、存じ上げております…」
《んはは、そっかー!》
電話越しだと、先輩の声がいつもより低いような気がする。
いや、そんなことよりもだ。
真ちゃん先輩から電話をかけてきてくれるなんて、こんな嬉しいことがあるだろうか。
あまりの嬉しさに気分が一気に高揚していく反面、実際に話すとなると別であった。
「…キ、キョウハ、イイテンキ、デスネ……」
嘘である。
現在、時刻は21半。
しかも、今日の天気は1日中雨が降っていたため、いい天気でも何でもない。