あなたの笑顔が好きだから。


もっとたくさん話して、萩ちゃんのことを知りたい。

萩ちゃんにも、おれのこと、いっぱい知ってほしい。

連絡先を交換するという、目的を果たすことができてホッとしていると、萩ちゃんは口元を両手で覆いながら「うへへ…」と笑いを堪えていた。

よっぽど嬉しかったのか、笑い方が独特で、こっちまでにやけそうになる。


「早く、先輩に会いたいです……」

「…っ、うん、おれも……」



──『…私、先輩の笑顔好きです……』



萩ちゃんが笑った瞬間、不意に彼女がおれに言ってくれたことを思い出す。

そして、おれは無意識に口に出してこう言っていた。



「…おれも、萩ちゃんの笑顔好きだよ」



おれの発言は、しっかりと本人の耳に届いていて、萩ちゃんは次第に頬を赤らめていく。

自分でもとんでもないことを言ってしまったと時間差で気づき、萩ちゃんに釣られて顔が真っ赤になった。