あなたの笑顔が好きだから。




「…えっ、付き合ってないです」



何を言っているんだこいつ、と言わんばかりに萩ちゃんは全力で否定した。


「も、もしかして、私と玲太くんが付き合ってるとか思ってたんですか…?ないです、ないない。小学生の頃から一緒にいることが多かっただけで、玲太くんは彼氏でも何でもありません」


相当嫌だったのか、萩ちゃんが珍しく怪訝な顔をしている。


「つまり、萩ちゃんにとって、りょうたくんは『幼なじみ』ってことでいいの?」

「たぶん、そうなりますね。玲太くん、よくご飯を作りに来てくれるので、なんていうか、親?みたいな感じです」

「そう、なんだ……」


萩ちゃんとりょうたくんは、幼なじみ。

りょうたくんは、萩ちゃんの彼氏ではない。


真相がわかった途端、体の力が一気に抜けた。


「……そっか。 ……っ、そっかぁ…っ!」


安心しきった声が出て、その場にしゃがみ込む。

そんなおれを見た萩ちゃんは、「だ、大丈夫ですか?」と、心配しながらおれと同じように座り込んだ。


「……萩ちゃん」

「はい」

「連絡先、教えてくんない?」

「はい──…えっ!?」