今日はため息をついてばかりだ、そう思いながら苦笑していると───…。
「しんちゃん、せんぱい…」
まさか、と思った。
遠くから悠の姿が見えた瞬間、そうなんじゃないかとは予想していたのだが、今、1番会いたかった人が目の前にいる。
「えっ、萩ちゃん…?」
夢なんじゃないかと疑ってしまったが、どうやら夢ではないようだ。
「あっ、えっと……ひさしぶり…」
「へぁっ、あっ、ひゃいっ……」
「……」
「……」
急に萩ちゃんに会えるなんて思ってもいなかったから、何を話せばいいのかわからない。
久々だからなのか、気まずいような、くすぐったいような、自分でも理解できず、何とも言えない気持ちになる。
「あのね、このおねいちゃんといっしょにおじちゃんさがしてたんだよ〜!」
「そ、そうなんだ。ありがと、萩ちゃん。うちの甥っ子が迷惑かけてごめんね」
「あっ、いえ、そんな…私何もしてないので……」
萩ちゃんに会わせてくれたお礼として、あとで悠にアイスでも買ってやろうと、そんなことを考えていると、「あの…」と萩ちゃんが遠慮がちに口を開いた。



