「逆に聞くけど、そっちこそ萩ちゃんのなんなの?」
「別に何でもいいでしょ。芽依のこと何も知らないやつに俺たちの関係話す筋合いないですよね」
「〜〜…っ」
こ、こいつ、かわいくね〜〜〜…っ!
ああ言えばこう言うやつだな。
刺々しいことしか言えないのか?
反抗期かよ。
確かに、りょうたくんの言う通り、おれは萩ちゃんのことを何も知らない。
好きなものや嫌いなもの、誕生日や家族のこと、他にもたくさん、全く知らないことばかりだ。
でも、だからって彼氏かどうかもわからない人間に、おれが萩ちゃんに近づこうとすることに文句を言う権利はないと思う。
「だったらこっちも言わせてもらうけど、お前もおれのこと何も知らないくせに、萩ちゃんのことをどう思ってるのか教える必要ないよな?」
「……あんた、やっぱムカつきますね。ちゃらんぽらんクソ野郎が…」
「お?なんだ、やるかぁ?彼氏面マウント野郎くん(笑)」
お互いに煽りながら火花を散らしていると、館内放送前に鳴る、チャイムのような音が耳に入ってきた。



