「先輩にもまだ少年の心はあったんですね」
「…へ?」
おれが今手に持っているおもちゃを見つめてそう言ってきたので、即座に「違うから」と否定した。
「おれの甥っ子がこのおもちゃ欲しいって言ってたから、買いに来ただけだし…」
「……わざわざ一人で来たんですか?」
「いや、甥っ子と一緒に来たんだけど、はぐれちゃって……」
「へー、あんたみたいな人でも、ちゃんと子どもの面倒見るんですね」
「は?どういう意味?」
質問に答える様子はなく、りょうたくんは見定めるような瞳でおれにこう聞いた。
「あんた、芽依のことどう思ってるんですか?」
「え…っ」
「はっきり言わせてもらいますけど、あんた見てるとムカつくんです。学校であんたを見かける度に、色んな女子を連れ歩いてるイメージあったんで、先輩みたいないい加減な男が芽依に近づこうとするの、やめてほしいんですけど」
「はっ…」
なんなんだ、こいつ。
なんかよくわからないが、萩ちゃんの彼氏面をしてきて腹が立つ言い方だ。



