「おめでと、麻美」

「ありがとう! 柚ちゃんのおかげだよ!」

そう言ってはにかむ麻美はとても嬉し気で。

私には。

私も同じ人に恋をしていたんだよ、なんて打ち明ける勇気は無かった。


――放課後。

「うっ。ぐす。今田ぐん、なんで、なんでなのよー!」

「……荒れてんなー。またかよ?」

「そーよ、まただったのぉ!」

今、親友で腐れ縁でもある京介とともに、喫茶「merry」に来ている。

……実は、私の好きな人と友達の好きな人が一緒だったのは、これ一度だけのことじゃない。

何回もあった。

そして、大抵私が友達と相手の橋渡し役を頼まれるのだ。

なまじ、交友関係が広いばかりに。嬉しいけど、嬉しくない。複雑な気持ちだ。

ついでに言うと、二人がくっついて、京介に愚痴るまでがいつもの流れ。

恋愛祈願とか、恋のお守りとか付けてみたりとかして神様に祈ってみても。

私の恋は実らない。