コンパクトに三角座りしたやよいが、ふてたように膝に顎を乗せた。
雨の音に混ざって、日下部が微かに笑ったのが聞こえる。
「園村さんてそういうの平気で言えるんだね」
「そういうの?」
首を傾げ、意識だけ日下部に振り返る。
「自分をフッた相手にフラれた話とか」
「事実やからね、日下部くんが私をふったの」
これはもうほとんど投げやり。
イヤミにしたいつもりもないし、卑屈さを訴えたいわけでもない。
下手に言い訳しても、背後に控える事実はきっとそれを許してはくれないだろうから。
それなら開き直る方がまだ楽だ。
「そうだけど…、でも普通は避けるでしょ。こうやって探しにきたりとかもしないし、とりあえず関わらないようにするもんでしょ?」
なんでそんな事訊くん。
本気で訊いてんのか。
「日下部くんの普通はそうなんやろうけど、私の普通は違うから。避けたりしたらフラれるまでの自分の気持ちとかフラれた後立ち直るために使った精神力とか勇気とか全部無かったものになる気がする。必死で打ち消したんやから、無かったことにはせんよ」
あれから毎日必死で打ち消す努力をし、無かったことにするのではなくフラれた過去も自分だとして恋心を消し去った。
いや、実際打ち消したわけでも恋心が消えたわけでもはなく、打ち消したものとして処理したとした方が正しいかもしれない。
どうにかしようという気持ちのない恋心は、まだちゃんと存在していた。
気持ちを完全に消去するのにそんな短時間は無理だ。
雨の音に混ざって、日下部が微かに笑ったのが聞こえる。
「園村さんてそういうの平気で言えるんだね」
「そういうの?」
首を傾げ、意識だけ日下部に振り返る。
「自分をフッた相手にフラれた話とか」
「事実やからね、日下部くんが私をふったの」
これはもうほとんど投げやり。
イヤミにしたいつもりもないし、卑屈さを訴えたいわけでもない。
下手に言い訳しても、背後に控える事実はきっとそれを許してはくれないだろうから。
それなら開き直る方がまだ楽だ。
「そうだけど…、でも普通は避けるでしょ。こうやって探しにきたりとかもしないし、とりあえず関わらないようにするもんでしょ?」
なんでそんな事訊くん。
本気で訊いてんのか。
「日下部くんの普通はそうなんやろうけど、私の普通は違うから。避けたりしたらフラれるまでの自分の気持ちとかフラれた後立ち直るために使った精神力とか勇気とか全部無かったものになる気がする。必死で打ち消したんやから、無かったことにはせんよ」
あれから毎日必死で打ち消す努力をし、無かったことにするのではなくフラれた過去も自分だとして恋心を消し去った。
いや、実際打ち消したわけでも恋心が消えたわけでもはなく、打ち消したものとして処理したとした方が正しいかもしれない。
どうにかしようという気持ちのない恋心は、まだちゃんと存在していた。
気持ちを完全に消去するのにそんな短時間は無理だ。

