そんな場所に一人でいたいほど尚太の提案は腹立たしいものだったのか。
「いたいというか、んー、さっき一人になったとき女子に追っかけ回されて面倒だから、とりあえず追っかけてこれないだろうここに避難したって感じ」
予想外の理由に開いた口が塞がらない。
やよいが心痛めたこととはかけ離れた答えに、一人で悩んで傷付いたと騒いだ自分が情けなくなっていた。
よくよく考えれば、別になんとも思ってもいない女とのあれやこれやを勧められて腹が立ったとしても、そんなことをいつまでも引きずるわけがないのだ。
結果的に、やはり自分と日下部は同じ導線上にはいられないのだと理解し、ここまで完全に可能性を潰されてしまったことに清々しささえ感じた。
「なんやそれ、心配して損したわぁ」
「ふーん、園村さんは確実に心配してくれたんだ」
「するよそりゃ。人がおらんくなったって言うたら。日下部くん結構長い時間おらんかったよ?」
仲のいい誰かでなくても、同じ学校の生徒という距離感なら人としての心配はする。
ここまで衝動的に探し回るかと訊かれたら答えに困るが、探さないという選択肢もない。
やよいがここまでしたのは日下部が相手だったから、とはとても言えやしないが…。
「まぁでもそろそろ諦めたろうし、戻ろうか」
そうだねと立ち上がり、歩いてきた道を戻ろうと進行方向を向いたとき、空から大きな雫が額めがけて落ちてきた。
雨?
空を見上げ、「うわ、雨雲すごい」と言い終わるか終わらないか、堰を切ったように雨が降ってきた。
ざぁぁっと激しい音を立てて落ちてくる雨粒。
「いたいというか、んー、さっき一人になったとき女子に追っかけ回されて面倒だから、とりあえず追っかけてこれないだろうここに避難したって感じ」
予想外の理由に開いた口が塞がらない。
やよいが心痛めたこととはかけ離れた答えに、一人で悩んで傷付いたと騒いだ自分が情けなくなっていた。
よくよく考えれば、別になんとも思ってもいない女とのあれやこれやを勧められて腹が立ったとしても、そんなことをいつまでも引きずるわけがないのだ。
結果的に、やはり自分と日下部は同じ導線上にはいられないのだと理解し、ここまで完全に可能性を潰されてしまったことに清々しささえ感じた。
「なんやそれ、心配して損したわぁ」
「ふーん、園村さんは確実に心配してくれたんだ」
「するよそりゃ。人がおらんくなったって言うたら。日下部くん結構長い時間おらんかったよ?」
仲のいい誰かでなくても、同じ学校の生徒という距離感なら人としての心配はする。
ここまで衝動的に探し回るかと訊かれたら答えに困るが、探さないという選択肢もない。
やよいがここまでしたのは日下部が相手だったから、とはとても言えやしないが…。
「まぁでもそろそろ諦めたろうし、戻ろうか」
そうだねと立ち上がり、歩いてきた道を戻ろうと進行方向を向いたとき、空から大きな雫が額めがけて落ちてきた。
雨?
空を見上げ、「うわ、雨雲すごい」と言い終わるか終わらないか、堰を切ったように雨が降ってきた。
ざぁぁっと激しい音を立てて落ちてくる雨粒。

