ゆっくり、話そうか。

何とかして被害を最小限に、嘘でもいいからこの後笑っていられるくらいですませたい。
なのに───

「可愛くても付き合わない。無神経に園村さん押し付けられても困る。彼女なんかいらないから。この話しもう終わりでいい?」

やよいの願いも虚しく、トドメとなる拒絶が突きつけられた。
完全に頭が真っ白になる。

「日下部くん、そういう言い方っ…」

咎めようとした万智を遮り、ちょっと外すと言って食材を調理机へ置いた日下部が、返事も待たずに去っていった。
やよいの傍を通る際、僅かに目が合う。
しかしあっさり逸らされ、気持ちが木っ端微塵に打ち砕かれた。
完全な拒絶だった。
もうなんの希望も持てないほどの拒絶に、心臓が破裂しそうになる。

「なに怒ってんだ、あいつ」

「尚ちゃんのせいじゃない!!もうっ!知らないから!」

誰もが聞いたことがないような声を出してやよいに抱きつき、「ごめんね、ごめんね」と繰り返す。
今にも泣きそうに。
その振動で我に返ったやよいが万智を優しく抱き締めた。

「えぇよ、万智が悪いんちゃうんやし」

悪いんは万智の彼氏やし。
ちなみに泣きたいのはこっちやし。
何が嬉しくて、告白もしていないのに同じ人から二度もフラれなければならないのか。