やよい失恋自分をフった相手とスマホを探す事件からしばらく、夏目前キャンプ大会が実施されることとなった。
毎年二年のこの季節に行われるもので、修学旅行の次に人気のある行事となっている。
人里離れた森林、普段接点の無い男女が仲良くなれるチャンスともあって、この機会にちゃっかりカップルが成立されることもある。
一夏のアバンチュールを学校公認でという認識らしい。
知る人ぞ知る、合同コンパ大会告白オンパレードわっしょいなのである。

「うーい、じゃあ決まった班毎に集まって必要事項決めようかぁ。班の責任者ちょっと集まって。他は始めてて」

高校教師特有の、少し怠惰な雰囲気を醸す担任が頭をかきながら指示を飛ばす。
ガタガタと、椅子や机を移動させて班毎に散らばる光景は小学生のそれと大して変わらない。
他のクラスも同じホームルーム中らしく、机を移動させる賑やかな音が廊下中に広がっていた。

「一緒だねぇ、やよいぃぃぃっ」

高校に入学して、こちらに引っ越してきて、初めて仲良くなってくれた小川万智がやよいの首にしがみつくように抱きついてきた。
1年2年とクラスを共にし、最初の頃に比べると姉妹のように仲良くなっていた。

「ほんまによかったわぁ。仲良しさんやとテンション上がるし」

「ねー!」

もちろん他の女子メンバーも仲が悪いわけではく、他愛ない話をしたり一緒に遊んだりと付き合いはあるが、悩みや相談事などをするところまでではない。