ゆっくり、話そうか。

やよいとしては嬉しいことではあっても、ラブラブカップルの仲を裂くような野暮はしたくないので、尚太を優先してもらってもと思っている。
まぁ、不満ボルテージの上がった尚太が何をするか予測がつかないので不安というのが本音なのだが…。

でも、こうして二人で話して帰るのは楽しくて、高校生だなぁと言う気持ちで青春ぽい鼓動が心地よい。

「どこのコンビニ行こうかなぁ」

早くアイスが食べたくて、やよいの思い浮かべるのは学校を出てすぐのコンビニ。

「一番地かいとこ……あっ」

万智もそこを思い出していたようだが、ふと視界に入った光景に驚いた声をあげ、

「あっ」

同時にそれを目にしたやよいも声をあげて立ち止まる。
というか、元来た道を少し戻って建物の影に隠れた。
そしてトーテムポール状になった二人は顔だけ出して、もう一度確認する。

「日下部くんだよね」

「そやね…」

見紛うはずもない、いつも目で追いかけている日下部が人気の全く無い校舎と校舎の間で誰かと話しているのが見える。
幸いさっきの声は聞こえておらず、日下部は向こうを向いたままこちらには気付いていない。
ここは用がない限りは誰も来ない場所で、いわゆる告白にはもってこいなわけで。