ゆっくり、話そうか。

もう立ち直れないと思ったのに…。
なんの因果かその対象と土曜に勉強会。
人生とは奇妙なものだと思わざるを得なかった。

「やーよいっ」

校門に向かう通路に差し掛かったあたりで、前の方から声が聞こえた。

「えっ、万智??」

そこには帰ったはずの万智がいて、こちらに向かって手を振っていた。

「よかった、合流できて。ペンケースは?あった?」

「あったあった。ありがとう。ていうか、どうしたん?帰ったん違うん?」

「帰ろうとしたんだけど、日下部くんは一人でどっか行っちゃうし、尚ちゃんは先輩たちにつれてかれちゃって一人になっちゃって。だっらやよい待って一緒に帰った方が楽しいからって思って」

日下部はまぁ、そうだろうなと思った。
ベタベタするのを見たくない日下部のこだから、二人が気づく前に逃げたのだろう。

「寺久保くんつれていかれたって、まさか、リンチ?」

「違うよー、仲良くしてる先輩だから大丈夫」

先輩に連れていかれると言われてやよいが真っ先に思い浮かべるのは、怖い先輩からのお仕置きリンチ。
やよいがすんでいた地域の一部ではまだそういった呼び出しが残っていて、一昔前のオラオラ的展開も珍しくはなかった。
だからもしやと思ったが、平和な方向で何よりである。

「じゃあ帰ろか」

「どっか寄ってく?アイス食べたいっ」

「いいねっ、コンビニ寄ろう!」

万智は彼氏にベッタリといわけでもなく、そこそこちゃんとベッタリしていても友達との時間も優先してくれるタイプの子で、こうやって一緒に帰ることも少なくない。
尚太はいつもベッタリがいいと文句たらたらだが、その都度私は友達も大事だと尚太を言い聞かせている。