君との恋の物語-mutual dependence-

寒いなぁ。

目覚まし時計の音で目を覚ました私は、まず最初にそう思った。

まだ夜明け前。

起きてすぐのまだ起きていない頭で考える。

なんでこんな時間に目覚まし鳴るの…?




…!


そうだ、起きなきゃ!今日だけは!

飛び起きるようにしてベッドから降りた。

階段の上から下を覗くと、リビングの電気がついている。

そっか。お母さん、起きてくれたんだ。

少しホッとして階段を降りた。

リビングに入ると、お母さんはキッチンにいた。

『おはよう。ちゃんと起きたわね。』

「うん。」

眠いけど。

「あの、ありがとうね。」

『え?なに』

「んん、なんでもない。」

『もう。いいから顔洗ってらっしゃい。時間ないんでしょ?』


顔洗って、まずは朝ごはんを食べた。

それから歯を磨いて着替えて化粧して。

ここまではあんまり普段と変わらない。

でも、今日は特別な日。

『忘れ物しないでよ?ただでさえ時間ないんだから。』

わかってるよ。ありがと。

「うん、大丈夫。じゃぁ、行ってくるね。」

『いってらっしゃい。それから、ちょっと早いけど、卒業おめでとう。』

不覚だった…ちょっと涙が出そうになった。

「あり…がとう」

震える声でなんとかこれだけ言った。

『泣いちゃダメよ。せっかくお化粧したんだから。』

もう、誰のせいよ。

「ん。行ってきます!」


そう、今日は特別な日。



卒業式だ。



家を出て、駅に向かった。

髪のセットをお願いしている美容室は、幸い駅前で、そのまま電車に乗れる。

お店のに着いたら、もう中は明るくて、既に何人かは着付けを終えてセットに入っていた。

『いらっしゃいませ。山本様』

顔見知りの私は直ぐに奥に通してもらえた。


着付けもセットもそれなりに時間がかかったけど、知ってる店員さんだったからおしゃべりしてくれた。

予定通りに終わったのでそのまま電車に乗って大学に向かった。

祥子や由美とは駅で待ち合わせをしていた。

『あ!さぎりー!』

先に祥子が見つけて話しかけてくれた。

由美はまだきてないみたい。

「おはよう!祥子、袴似合うね!」

ほんと、すっごい綺麗。

『さぎりもよく似合ってるよ!』

なんて会話をしていたら、由美も来たんだけど、私達は言葉を失った。

「由美?だよね」

『なによ。そんなに似合わない?』

照れ笑いする由美。

「いやいやいやいやい似合いすぎなの!すっっっっごい綺麗!」

いや、本当に。元々整った顔立ちだけど、いつも化粧っ気がなくて服装もさっぱりしてるから…。

いやそれにしても綺麗。

普段からもっとおしゃれしたらいいのに。

『ちょっと、やめてよ。』

ますます照れる由美。

可愛い…。可愛すぎる。


そして、なんだかずるい。



『いいから、行こ!今日は遅れるわけにいかないんだから!』

なお照れ隠しする由美。

「うんうん、行こう!」

こうして私たちは、卒業式に向かった。