契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

 今回の件をきっかけに金城さんからのあたりが強くなる可能性もあるけど、助けに入ったことを後悔はしていない。だってお客様は最後に笑顔を見せてくれたもの。

 反省するべきことはしっかり反省をして、これからも自分らしく仕事に向き合っていきたいと強く思った。


 それから雑務を終え、チーフパーサーに提出するクレームの報告書を作成していたら、定時から一時間近く過ぎてしまった。

「どうしよう、待たせちゃっているよね」

 ひとりごちながら控室へと急ぎ、すぐにスマホをチェックすると誠吾さんからメッセージが届いていた。

【終わったら連絡して】の短い文面に、すぐさま返信する。【遅くなってすみません、今終わりました】

 送信してから着替えを終えると、スマホには新着メッセージが届いていた。

【俺の車、わかるよな? 駐車場で待ってる】

「車ってたしか、黒のスポーツカーだったよね?」

 何度か食事に行った際に、乗せてもらった彼の車を思い出して控室を後にした。

 途中すれ違う社員に挨拶をしながら駐車場へと急ぐ。

 駐車場に停まっている車はまばらで、誠吾さんの車をすぐに見つけることができた。

 近づくと見えてきた車内での彼の様子は、なにやらタブレットを真剣に見ている。もしかして勉強しているのだろうか。